スペクトラム トピックス

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ディクレクシアを扱った隠れた名作漫画「ファンタジウム」が泣ける!

「ファンタジウム」と言う漫画をご存知でしょうか?

10年ほど前にモーニングで連載していた漫画で、雑誌で読んでいました。この時にはまた子供もおらず、面白いなーと思いつつそれだけだったのですが、今読み返すとまた新しい発見があって号泣…!

 

普通に読んでも面白いので紹介します。

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ファンタジウム(1)

1日数話ですがマンガZEROというアプリで最後まで無料で読めます。

 

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開発元:SAICORO INC.
無料
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あらすじ

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長見 良(ながみ りょう)は読み書き障害である重度の難読症を持つ中学2年生。ひらがなと小1程度の漢字がやっと読めるくらいの重度であり、生活にも困難が生じています。医師の診断はあるものの、支援はなく不登校状態。

街をふらついていて知り合った老年のマジシャンに教えを受け、マジックは天才的な腕前ですが社会との繋がりがなく孤独に過ごしていました。

 

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マジシャンの孫である北条は、良に天性のスター性を感じ、彼を世に出そうと奔走。腕前とキャラクターを認められて、大きなプロダクションにも所属し、一躍芸能界のスターへ!

 

しかし「普通」になることを望まない良は新たなステージを模索します。

 

みどころ

絵もすっきりキレイでストーリーがテンポよく進み、話の展開も面白い良マンガだと思いますが、なんといっても、絶妙にリアルな心理がよくかけているところ。

後半の芸能界のあたりになってくるとほかの登場人物の心理はそこまで機微に書かれないものの、人が変わる瞬間について多く扱われるようになり、それはそれで面白いと思います。

また、完全な悪ものや敵も出てこずに安心して読めるところ、障害にだけターゲットが当たるのであなく、「優等生のコンプレックス」にも触れられているところも好印象です。

 

・リアルすぎる親の心境

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 出だし、父親はディクレクシアに理解がなく、良をマジックの世界から遠ざける粗暴な人物として出てきますが、すぐにただ自立への不安があるだけの愛情深い人であることがわかります。マジックの世界で力を試してみると決めてからは、暖かく見守り、純粋に成長を喜ぶ人に。

 

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対して母親は、良いところをほめ可能性を信じ、理解を示す人物として出てきます。私も以前ならそういう見方をしたでしょう。よく見ると、初旬はギフテッド部分にしか目を向けていないことがわかります。それゆえ、北条が見つけてきた中学へ編入した際、担任に障害を伝えなかったりする。「普通」への期待が捨てられないように見えます。成長していく良をしばしば手元に戻したがったり、それでも最後には背中を押したり、この「母」の気持ちが本当にリアル。

 

登場時、障害に対して対応ができずに迷いのある両親ですが、良への愛情は深く、良もそれを感じています。

 

読んでいるうちに、良の強さは親の愛情の上に成り立っているし、特別な手技スキルも実は父親譲りであったり、強い心と豊かな情緒は母親譲りであるように思えてきます。

 

・挫折知らずの優等生

北条はスポーツもでき一流大学卒、人当たりもよく好感度の高い優等生な大人。その一方で、マジシャンである祖父にあこがれながら普通の人生を選択したことに心残りを感じています。

この北条が「俺の贅沢」として良を支援するのですが、その心境もリアル。

根がまっすぐでいい人なので本当に良のことを思っている一方で、障害を負った人生に対する認識の甘さ、無意識な差別意識などもちらほら見受けられます。さらに自分でそれに気づいて苦悩したり。

 

・教員ズ

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中学のイケメン担任はいわゆるサラリーマン先生。杓子定規にものを考え「決まっていることだから」と疑問を抱かずにいられるタイプ。良の障害を知って手のひらを返したように良を避ける。

 

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対して通級の山村先生は良に寄り添いニコニコしながらピシっということは言って、良の心を徐々に開かせます。染みる名言がすごく多い。

 

何がリアルってこのとっても素敵な通級の先生が「通常級を持たせられない」扱いで下に見られていること。

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いるよねこういう校長。

 

・中学生ズ

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良の中学の唯一の友達、渡辺君は不登校から復帰してきた落ちこぼれ。勉強はできないけれど、素直で楽しいことが好きであっさりと障害を受け流す子

 

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 幼稚ないじめをしてくる学校の優等生五十嵐君はここぞとばかりに優等生の苦悩を体現してくれます。学校のカーストや常識に縛られ身動きが取れない。彼が良とのかかわりを経て、その価値観から抜け出すところも見どころ。

 

 

芸能界は登場人物多いので端折りますが、人生を変える転機がいろんなケースで語られていて面白いですよ。

 

他にも大人がたびたび「使命」や「役割」を口にするのに対し、子供達(特に良)が感化されながらもそれに乗らずに自由でいる様や、障害いかんによらない、全員共通のものである「さびしさ」への注目など、メッセージが散りばめられた作品となっています。

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全9巻なのでサクッと読めます。

秋の夜長にハマってみてください。