Twitterで「発達障害は食事療法でで治る」という議論を見まして、思うことを書いてみます。
結論
結論から言いますと、
と考えています。
研究結果
日本語でわかる範囲に限られますが、scholarを7ページみても、発達障害が食事量で改善するという直球の論文はありませんでした。
逆に、グルテン抜き、カゼイン抜きに関しては、医学的に証明できないという発表があります。※2009年
http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu02901250188
1. 現在の科学的データではグルテン及びカゼイン抜きの食事療法が自閉症の症状改善に有利な影響を及ぼすと結論することはできない
発達障害と食事の関係を示す研究で関連すると思われるものに、鉄分と発達の研究、腸内フローラ(腸内細菌叢)の研究があります。
鉄分
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/99/6/99_1201/_pdf
小児並びに思春期の鉄欠乏性貧血の臨床像は,第一に成人と異なる側面をもつこと,第二に今なお小児の疾患として重要な意義をもつこと,が特徴としてあげられる
(中略)
②発達障害,学習障害など精神神経症状がみられることが多い14~16).特に,動物実験では,胎生期並びに授乳期の鉄欠乏状態
は,離乳期の鉄補充にかかわらず,神経代謝,神経伝達物質,髄鞘化,遺伝子・蛋白合成に変化を与えることが示されている12,21~23).鉄欠乏が発達や発育に及ぼす影響を表 5 に示す17).
引用論文の最も古いものは1996年に出されています。こんなに前から鉄欠乏は危険視されてたんですね…
また、妊娠時期に鉄分を接種しなかったことによる影響は、ヒアリングというあいまいな形ではありますが結果が出ています。当事者として、この論文はあいまいなままにしていただきたい気持ちがあります…
腸内フローラ
母数が少なく、オンラインジャーナルによるものですが、細菌の多様性という定量的な基準とSSTマーカーによる観測が行われており、信頼度はあると思います。なおこれは、「細菌移植」によるもので、食物による改善ではありません。
敏感さやこだわりのため、しばしば栄養が偏りがちな発達障害児において腸内環境が乱れがちなのも容易に予想されます。お腹が痛いのに、苦手を頑張るなんて難しいのではないでしょうか。
本
関連する本は何冊も見つかりました。
※張っといてなんですが、私はどれも読んでいません。
商品紹介から察するに、ポイントは、
論文とそんなに乖離しているようには思いません。
強いて言えば「治る」とか、「脳の病気ではない」などの煽り文句がイライラしますね。
書籍は薬事法で縛られてるわけでもありませんから、書きたい放題。
論文と本の違いは、データソースの確からしさが証明されていないところにあります。しかし流石に1つの事例もないものが国もたがえた各方面からどやどやと出てくることはないでしょう。
食事療法で改善した人はいる。
これは間違いないのだと思います。
研究結果がなぜないのか
理学部を卒業し、ある程度統計はわかりますが医学としては素人なので、想像にすぎませんが、食事療法で発達障害が治るという直球の論文はこれからも出ないだろうと思います。
というのは、このデータをとるのはものすごく難しいからです。
まず自閉症スペクトラムやADHDで研究に協力してくれる人を何十人も集めて、SSTマーカーをつけさせ、毎日の食事を管理して、量、調理法その他から含有栄養素量を割り出しマーカーの結果と突き合わせなければいけません。
上ではサンプルに偏りが出て、優位差がとりずらい場合もあります。
正確には栄養士が改善が予想されるパターン、予想されないパターンの2パターンの食事レシピを用意してそれを2分して被験者に配布し、数か月毎日きっちり用意して食べさせる方がいいかも知れません。予想されないパターンに絶対当たりたくないですね。
双方、数か月にわたって続ける必要があります。
前者の場合はロギングの正確さが重要で、後者の場合はご家庭で作って食べさせてロギングする大変な手間がかかります。
そんなに苦労して、結果として優位差が認められない場合もあります。
この実験参加したいですか?
私はしたくありません。
もっと簡単には特定の栄養素のサプリメントを毎日飲んだ個体どおしで比べることもできます。そうやって開発されているのがホスファチジルセリン系サプリメントなのだと思いますが、市販するものだとサンプルは数十件では足りません。発達障害の人だけを集めるのは大変でしょうから、定型さん含めて取得されているものと思います。
実体験
食事療法で改善した人はいる、と私が考えているのは実体験があるからに他なりません。
食事内容の変更やミネラル接種によって、QOL(Quality of Life)が上がった経験があります。
しかし私の発達障害のほとんどは注意欠陥であり、この障害を大きく助けたのはスマフォの進化だと考えており、食事を変えたタイミングとスマフォの進化が同時に訪れたため、発達障害が改善したかはなんとも言えません。
QOLの向上はほかに抱えていた大量の「体調不良」が改善されたためです。
風邪をひいている時、頭が痛いとき、女性ならば月経の時、発達障害は当然のようにひどくなりますよね。改善するんだという人はなかなかいないででしょう。
慢性化していて、自分では気が付いていないような不調もあるでしょう。
ここに思い当たるものがあるのであれば、薬を使わない方法でまずこれを改善してみると、QOLは上がります。気持ちに余裕が出れば、発達障害も改善するのではないでしょうか。
個体差に注意!
何が足りなくて何が必要なのか、
それは定型の人でも個人差があります。
論文は統計で結論しますから、集合に対して優位であっても外れている個体もあります。
うちで言えば、発達障害のはっきりししている長男アオはお肉も野菜もアレルゲン以外はしっかり食べ、おなかも快調な子です。反対に定型と思われている妹モモちゃんは90%炭水化物製であり、氷をバリバリ食べたがる鉄分不足が予想される子で、おなかもちょいちょい痛くなります。
下記に紹介していく方法でも、たとえ定量的にはそうであったとしても、健康不安のない、という人は沢山います。
保健医療では見つけられない原因
通常の保険医療では体調不良の原因が見つけられない場合があります。
私は月経時の腹痛、めまい、頭痛が激しく10代からいくつもの産婦人科に行っています。医者は腫瘍やポリープは見つけてくれましたし鎮痛剤は処方してくれました。立ち眩みなどは通常ずっとあり、何度か血液検査を受けていますが、保健診療内の血液検査では「正常」と出ます。医者から根性なしと鼻で笑われたことはあっても、誰も鉄分をとれとは言いませんでした。
保険診療外の詳細血液検査によって内在鉄貧血が判明し、月経時、走ったりしたとき等瞬間的に貧血になることがわかりました。
根性以外に原因があることがわかって、ほっとしたのを強く覚えています。
まぁ、根性もないんですけどね。
そのほかに、遅効性アレルギー検査(IgG)によってわかったこともあります。
これもエセ医療といわれているような領域でもありますが私には効果がありました。
しかし、大量にIgGアレルギーを持っていた人の中でも、健康不安を感じていない方が多くいたのも事実です。
まとめ
隠れアレルギー(igG/軽度igE)で小麦があれば、グルテンフリーは劇的に効くでしょう。牛乳、卵など毎日摂取している食物があれば、一度なくしてみるのも手です。
お腹の弱い子はヤクルトやビオフェルミンやヨーグルトを続けてみて様子を見てみるのもよいかもしれません。
氷を食べたがる、走るとすぐ息切れしてしまう、爪が弱いなら、鉄分タンパク質亜鉛摂取は有効でしょう。
食事を用意して毎日様子を見ている親御さんやご本人には何らか心当たりがあるのではないでしょうか?
お母さんの、あなた自身の、直感が正解
という基本に立ち返るように思います。