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映画 アド・アストラ 見てきました! ※ネタバレあり長編記事

夫に子供達を託して息抜きに映画を見てきました。

 

難しいストーリーでしたが、10代後半にハマりにハマったブラピ様美中年バージョンのドアップと、美しい宇宙映像、素晴らしい音楽に、大人時間を満喫できました。

ジワジワと、もう一回見ようかなと思えてくる良映画。明るいリビングより、くらーい映画館での鑑賞がおすすめです!

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※感想に微妙なネタバレ、その後に完全なネタバレとネタバレがないと語れない感想を記載していますのでご注意ください。

※さらに語りあう人がいないのでものすごい長い記事になりました。

感想

予告では「父親をロストしたために感情がなくなった」とにおわされている主人公のロイ(ブラッド・ピット)ですが、映画を見ていて、もともと感情は乏しかったんじゃないのと思えてきます。

超高機能ASD親子のうち、運命を追った父と、地上と人を求めた息子、みたいな。

 

結構な事件が頻発するのですが、ものすごい淡々と流されていき、これは何かの伏線なのかしら?というものも回収されませんし、正直言ってこのエピソードいった?というものもあるし、ほんまかいなってレベルの生還も短時間でサクッと済まされます。

まるで人生の時計の針のように。

 

広告ではミステリーのような印象を受けるのですが、これは壮大な私小説

強制的に旅立ち、巻き込まれながら、最後は自発的に飛び込み、邂逅を経て、自分の心のカギを開ける。

 

マッドサイエンティストで何か発見して地球侵略のためにサージを起こした父親とそれを止める息子」

というストーリーを期待するだいぶ肩透かしを食らいます。

私はもちろんそれを期待してたのですがギャップはむしろ好意的でした。

 

しかしエンドロールは単調な名前の羅列だったにもかかわらず、私も含めてほとんどの人が席を立ちませんでしたし、まだぼんやりと映画のことを考えています。

人を選ぶかもしれませんが、余韻を残すのは素晴らしい映画の証拠だと思います。

 

しばしば「2001年宇宙の旅」のオマージュカットが入りますので、ファンの方にはとってもおすすめ。

 

 

※ここから完全なネタバレとなります。見たい人だけスクロールしてください。

映画「アド・アストラ」あらすじとネタバレ

月旅行が可能になっており、火星に地下基地がある100年後の未来。

脈拍が80以上になることなく、軍事訓練、宇宙活動共に最高クラスの宇宙飛行士ロイ(ブラッド・ピット)。30年前に地球外生命体を探すリマ計画にて消息を絶った父、クリフォード(トミー・リー・ジョーンズ)の後を追うように宇宙飛行士になりました。妻は孤独に耐えられないと家を出ています。

 

宇宙エレベーター(?)の船外活動中に大規模サージに巻き込まれながら、冷静な行動で生還するロイ。しかしそんな状況でも何も感じない感情的な孤独に悩む彼。

 

宇宙軍の偉い方に呼び出され、30年前に地球外生命体をを探索する計画中に冥王星付近でロストしたとされる父が生きていて、未知数の被害を及ぼす大規模サージを引き起こしている可能性を知らされ、息子として火星から メッセージを送って欲しいという最高機密の任務を依頼(強制)されます。

 

父の旧友トム・プルーイット大佐とともに月に旅立つロイ。月は旅行者でざわめき、彼ら親子にとっての「宇宙」ではなくなっています。さらに資源紛争に巻き込まれ、銃撃戦の中護衛の中尉が死亡。月面車に貼ってある中尉の家族の写真がちらつきます。ロイの活躍で切り抜けますがトムは不整脈を起こし、ロイに父の生存と、軍が父を始末しようとしている証拠を手渡し離脱します。

 

月から火星に移動する最中で救難信号を拾い、助けに向かった船でサルに襲われ、船長が亡くなりました。船長を代行する副船長は臆病で、着陸時のトラブルにパニックになりロイが指揮権を奪取。助けた形でようやく到着しました。

 

火星から軍の用意した無機質なメッセージを父に呼びかけるロイ。何度目かのトライの際、ロイは任務を超えて、自分の言葉で父にメッセージを送ります。

「モノクロのミュージックを一緒に見たね、もう一度会いたい」

このメッセージには反応があった様子。ロイは初めて脈拍を上げて結果を問いますが、任務継続に不適合であると外されます。

 

火星生まれでどこか宇宙人的な美貌を持つ火星の責任者ヘレン・ラントスはロイの父がリマ計画に参加していた彼女の両親を殺害したこと、5時間後に核を積んだ船が冥王星に発つ事を告げ、彼をロケットに乗せる手伝いをします。

「君は捕まるぞ」ロイは言います。

「どうでもいいわ」ヘレンは答えます。

 

船に乗り込んだロイは敵ではない一緒に行きたいと望みますが、交戦になり、乗組員は全員死亡。ロイは一人で80日の孤独の旅に出ます。

自らが望んだ孤独の世界と無重力に蝕まれるロイ。

元妻との甘い記憶が揺らめきます。

「正直に言おう、辛い」

 

冥王星で父の宇宙船を発見します。

ポットで父の宇宙船に向かうも、ドッキングができず、宇宙船で乗り込むロイは、流れていくポッドを見つめます。

宇宙船の中には漂う死体と陽気な音楽。モノクロのミューカルが流れていました。

 

「ロイか?」

父と対峙するロイ。

 

父は穏やかに、探索を続けたい父に対して反乱がおきたこと、その反乱者を殺害したこと、彼らが最後の脱出手段として起こした行動でサージを起こしたことを語ります。

「なんとかサージを止めようとした」と語る父ですが、探索を望む彼には船を破壊できません。

 

父は

「運命を見つけた。お前を捨てた。ここが家だ」と言います。

それでも

「愛している。一緒に帰ろう」

というロイ。

 

父に宇宙服を着せ、核をセットして船外へ。しかし父は、宇宙に流されることを望みます。もみ合いの末、ロイとの命綱のフックを取る父。

父はアド・アストラ(星々の彼方)へと流され、

ロイの叫びは真空に飲み込まれていきます。

 

ロイは宇宙船の部品と遠心力を利用して冥王星の環をぬけ、なんとか船に戻り核爆発の推進力を利用して地球に戻りました。

駆けつける隊員の手をしっかりと握るロイ。

 

何度か繰り返された心理テストに応えるロイの表情は穏やかで慈愛に満ちたものでした。

妻がカフェのドアを開けて、彼に近づいてきます。

 

 

映画「アド・アストラ」ネタバレの上での感想(ツッコミ)

音にずいぶんこだわった映画で、宇宙服での音は宇宙服同士で聞こえるような音になっており、息遣いや響き方が通常と異なり、臨調感満載。

父との別離の際、父が通信県外にいるため、ロイの叫びは無音で表現されていました。

 

だからこそ気になるんですが、月での交戦の時爆発音とかしまくってましたが、するんでしたっけ?月で宇宙服外で発生した音。

 

個人的には火星の責任者、ヘレンが印象的でした。

火星で生まれた彼女は1度だけ地球に行ったことがあるそうですが、おそらく長くは地球の重力に耐えられません。責任者というだけでなく、サージがひどくなれば火星の地下基地でただだだ死を待つばかりです。

彼女が初めて出たときに、廊下がだんだんと暗くなり、彼女もロイも暗闇に飲み込まれます。「エラ計画に人生を狂わされ、心に闇を抱えた子供たち」の表現なのかなと思いますが、ドキッとしました。

 

もう1点すごくよかったと思ったのは、自らの地球外生命体探索の野望のために乗組員を殺害し、30年もの間宇宙にとどまる父。さらには大規模サージを起こしているとなれば、「何かとんでもないものを発見したマッドサイエンティストに違いない」と観ていましたがこれは期待外れに終わります。

 

ロイは80日の孤独に苦しみました。30年を孤独に過ごした父は、当然狂っていてもおかしくない。しかし見た目はいたって普通。過剰な演技はなく、そこら辺にいるちょっと偏屈なおじいちゃん。むしろこの姿は切ない。

ロイに対するセリフは彼を傷つけるものではありましたが、呼びかけに応え、モノクロのミュージカルを流す彼は本当に人を捨てていたのでしょうか?

彼は乗組員を失ったことで探索が続けられなかったことを理解していました。

孤独では野望は達成できない。

それでも彼は、彼方しか見つめることができませんでした。

 

 

ツッコミ

救難船のサルのエピソードいったのかなー。船長退場のためのエピソードのようで…救難船の26名がサルに襲われて死亡したのなら、肉片だの血液だの舞い散っててもおかしくないような。船内はいたってキレイなものでした。

 

あと、ロイ以外の宇宙軍がショボすぎるというか…

隔壁がしまってない発射タイミングで交戦しちゃて壁に激突、空気不足で死亡とかちょっとお粗末なんではとか。というか宇宙服着てるでしょう。このタイミングでは。月では着てたのに火星では着てないはずなかろう~。

ただ、ロイが手動で回避したような着陸トラブルをパニックになって操作できない船長(元副船長)では、核の推進力を利用して地球に帰るような荒業はできなかっただろうし、結局ロイなしでは爆破すらできずに全員死亡だったんでしょうね。

地球規模の大災害を止める極秘任務に選ばれる人選としては弱いんでは。

 

月での交戦もそうですが、出演者退場のためのエピソードが多かったかな。

 

ただ単に退場させているというわけでもなく、ような死と隣り合わせの現場で、はっきりとは言わないけれどロイが「生きたい」という行動を冷静に続けることが、彼の「人を思いやりたい、つながりたい」という気持ちにつながるのもよくわかるのですが。

 

 

ここまでで3691文字!

長くなりすぎましたのでこの辺で。

 

長文お読みいただきましてありがとうございます。